毎年のように繰り広げられる日本の首相交代劇。外国メディアの特派員たちは次のように見ている。
昨年12月に来日したばかりの韓国「朝鮮日報」東京特派員の車学峯(チャ・ハクポン)さんは、野田佳彦(よしひこ・のだ)氏が首相に選ばれたとき、「支持率5%の人が首相になる」という見出しの記事を本国に送った。野田氏は、民主党の支持者の中で5%しか支持率がなかったからだ。 車(チャ)さんは、「事前に行われた世論調査では、国民の人気は前原さんの方がずっと高かった。首相は人気のある人が選ばれるものだと思っていた」と語る。
彼は、東日本大震災の復興途上にある日本で繰り広げられた首相の交代劇に「こんな時に揉めるのは異常なことで、理解できない。震災復興は、誰がやっても難しい。全部を菅直人(なおと・かん)さんのせいにするのは間違っている。韓国では危機の時は、国民も政党も、一致団結する」と首をひねった。
ロシア「イタル・タス通信」の東京支局長を20年間務めるワシリー・ゴロブニンさんは、「5年間で6人目の首相になった。これは異常なことです。まあ、いつも長期政権になるロシアも異常ですが……。しかし、日本のように首相がすぐに交代するようでは、外交でイニシアチブが持てない」と語る。
「財政赤字、震災からの復興など、日本には問題が多い。そして、政治は行き詰まっている。旧ソ連に似ている」とゴロブニンさんは言う。
来日16年目になる英国「タイムズ」のアジア地域編集者、リチャード・ロイド・パリーさん(42)は、日本の政治記事を出稿しても、読者の反応が鈍いと感じている。「ここ数年、国際社会で活躍する日本の首相がいない。顔も名前も覚えられない」
パリーさんは次のように続ける。 「東日本大震災や東京電力福島原発事故には英国人もショックを受けている。だから『この非常時に首相が交代するの?』と飽きれる。政治家はいつも権力闘争をするものだから仕方がない」と諦め顔になる。
しかし彼は、野田氏の演説には好感を持ったという。 「野田氏のことは、ほとんど知らなかった。だが、自己評価や今後の展望を聞いて現実的な人だと感じた。これからは野党との協調が必要。日本の今後について、楽観的にはなれないが、希望は持てる」