日本の農林水産省は、日本食文化を世界遺産として登録するため、2012年3月までにユネスコへの申請を目指す。登録する分野は、世界無形文化遺産。これまで農水省は、日本食を世界遺産として登録するためにはどうしたらいいか、検討会を設けて関係者と議論してきた。
農水省が、日本食を世界遺産登録しようとしている背景には、東日本大震災で発生した福島原発の事故で放射能が拡散し、世界的に日本食への不安が高まっていることがある。そこで日本食の信頼回復を目的に、議論を続けてきた。
検討会は、日本の食文化の特徴を、「米を中心とした栄養バランスに優れた食事」「ダシの旨味や発酵食品の活用」と定義した。しかし、具体的なメニューまでは絞り込まなかった。当初は伝統的な日本料理である「会席料理」を想定していたが、それでは日本食の範囲が限定される。そこで、より幅広い「和食」という表現を使って申請内容をまとめる。
これまで世界遺産に登録された料理や食文化は、「フランスの美食術」「スペインなどの地中海料理」「メキシコの伝統料理」がある。現在、隣の国の韓国が「宮中料理」を申請中であることから、日本政府の焦りも伺える。