厚労省エイズ動向委員会が、昨年1年間に日本で確認された新たなHIV感染者数とエイズ発症者数を発表した。なんと、60歳以上の高齢者の新規感染者が急増している。
新たな感染者数は、この調査が始まった1984年以来3番目に多い1075人だった。 新規感染者の感染経路では、同性間の性的接触が最も多く744人で69%、2番目が異性間の性的接触が195で18%だった。母子感染が3人あった。一方、昨年のエイズ発症者数は469人で、これは過去最大。
エイズ動向委員会では、「40歳代や60歳以上の新規感染者が増加するなど、感染する年齢が拡大している。ウィルスに感染しても、早期発見して投薬治療を受ければエイズの発症は防げるので、無料検査や相談の機会を積極的に利用してほしい」とアドバイスする。
エイズといえば、知識の乏しい若者の感染を想像してしまう。では、なぜ高齢者に広がっているのか。その答えの1つとして、ある事情通はあ「エイズ感染が高齢者に拡大しているのは世界中でみられる現象だ」と言う。WHO(世界保健機関)は2009年に、バイアグラなど性的不能治療薬の普及による高齢者の感染リスクを指摘している。つまり、性的不能治療薬で元気になる→風俗店などで元気を試す→HIVに感染する、というプロセスだ。
健康な高齢者にとって「オレが感染するハズがない」という根拠のない自信も背景にあるらしい。